リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展@宮城県美術館
平日ど真ん中の休みは、美術館に行くには最適だ。
日程が合わず、東京で見逃してしまった「ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」が間もなく会期が終わるので観に行った。
今回のコレクションのルーツであるリヒテンシュタイン公国は、ヨーロッパにいくつかあるミニ国家の一つだが、どんな国なのかイメージは全くなかった。
126点の展示品のうち、半数が北方ルネサンスの絵画、残りが磁器。
ルーカス・クラナッハが好きなので、それがメインのつもりで行ったのだが、思いがけなく磁器が強烈だった。
輸入した日本の有田や中国の景徳鎮に、金ピカの装飾金具を取り付け、元の用途とは全く違うものにリメイクしたものだった。大胆にも、あとから穴を開けたものもある。割れたりしないのだろうか。金具の部分はもちろん当時のヨーロッパのデザインなのだが、これが案外違和感がない。オリジナルが有田や景徳鎮でもともと派手なデザインだったからかもしれない。東洋の陶磁器でも金属との組み合わせは見られるが、もっと抑えめの色だった気がする。
好き好きはあるだろうけど、これはこれで面白いと思った。
食器を観たせいなのか、展示室を出たあと、ケーキを食べたくなった。
いつもは中高年女性のグループ客で満杯のカフェも、お昼時間を過ぎたからなのか、新型コロナのせいなのか今日は静かだったので、赤いレザーのワシリーチェアに座ってお茶をした。
今、この美術館は突如降って湧いた移転問題で揺れている。
白い柱が並んだエントランスを眺めながら、あらためて思った。
ここでいい。ここがいい。